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「有事の金買い」とは

2017年現在、ファンドが買い漁っている「有事の金」

金価格が、再び上昇している。
先週末に、米ニューヨーク商品取引所の金先物市場が上昇したことを受けて「買い」先行で取引が始まり、その後も堅調に推移した。

米国のトランプ大統領就任後の「入国禁止」などの混乱で、投資家がリスク回避姿勢を強めており、相対的に安全な「実物資産」とされる金に逃避資金が流入しているとみられる。

「有事の金」はいまも健在です。ただ、昔とは意味が異なっています。
昔は金の現物を買う人が多かったのですが、今は先物取引が行われ、ファンド等の投機資金が売買の中心になっています。
需要は7割も増加し、2012年以来の高水準となっています。


<「有事の金買い」とは>
読み方:ゆうじのきんがい
別名:有事の金

紛争や治安の著しい低下などが生じた場合に、金が買われること。
特に戦争などの有事の際には、通貨や証券よりも、実物資産である金を買う動きが増える傾向にある。
また、紛争勃発時のほかにも金融危機をはじめとする経済的に有事である場合に金が買われることも「有事の金買い」と呼ぶ。


金の国際調査機関、ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が2017年2月3日に発表した報告書によると、2016年の投資需要は前年と比べて7割増の1561トンに達し、2012年以来の高水準となった。投資マネーが大量に流れ込む場面が少なくなく、投資需要の大幅増につながった。

金の価格は、景気の後退局面や需要増、戦争や紛争などの政治・経済情勢が不安定な「有事」のとき、外国為替市場で基軸通貨の米ドルやユーロが値下がりした場合に上昇しやすい。
その一方で、「実物資産」の金には、株高や景気の拡大局面の利上げは「売り」の材料となる。

2016年の金相場は乱高下した。
英国のEU離脱の決定や米国のトランプ大統領誕生などで、金価格は一時急伸。
半面、米国の景気拡大に伴う利上げでは急落した。

そうした中、金の価格は2017年1月31日以降、再び上昇基調を強めている。
トランプ大統領が、中東・アフリカ7か国からの外国人の入国を禁止した大統領令を出したことで抗議デモや取り下げ訴訟が相次いでいること、また中国の為替操作や、日本やドイツの「通貨安」を批判。
それらを受けた外国為替市場でのドル安の進展や、一連の政策の警戒感から運用リスクを回避する逃避資金が、金先物市場に流入しているようだ。

金投資に詳しい、金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏は、
「今回の金価格の上昇は、米連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)が1日、追加利上げを見送ったことが直接の原因です。さらに、FOMCが『(トランプ大統領の)政策の出方を見たい』としたことで、次回(3月14、15日)も『利上げはない』との観測が広がったことがあります」と説明。
当面は金利が上がらないため、「金は買いやすくなります」。


<オランダ、フランスの選挙も買い材料>

では、金を買っている投資家はいったい誰なのか――。
J‐CASTニュースが2017年2月6日、前出の亀井幸一郎氏に聞いたところ、「買っているのは、ファンドです」という。

米国の追加利上げが見送られたことに加えて、トランプ大統領の外交政策をめぐっては、日本を含めた、イスラム諸国や中国などとの摩擦を招きかねない事態が続いている。
これらが不安定要素として、「有事の金」とみているということらしい。

亀井氏によると、金投資ファンドは2016年前半に買い、後半は売りに転じた。
「年末には(金先物市場では)ほぼ売りつくしていました。ファンドは、大統領選のときのトランプ氏の過激な発言を『単なる票集め』とみていて、就任すれば現実的な政策を進めると思っていました。ところが、修正するどころか、さらに過激になっている。それで慌てて買い戻しているんですよ」と、現状について話す。

さらに、こうした「有事」がユーロ圏に広がる可能性がくすぶっている。
3月のオランダ議会選挙に、4〜5月のフランス大統領選がそれだ。

2016年6月の英国の欧州連合(EU)離脱以降、ポピュリズムの台頭や移民問題の拡大などで、ユーロ圏では先行き不透明感が漂っている。
そうした中、反EUや反移民を掲げる政党の躍進が続けば、景気の下押し要因となる恐れがある。

3月のオランダ議会選挙は、2017年にEUで行われる国政選挙の第1弾。
これまでEU離脱の「候補」として名前が挙がることが少なくないオランダで、「反EU勢力がどこまで議席を伸ばすのか。フランス・オランド大統領の支持率が低迷する中、その結果によっては、4、5月の大統領選への影響は必至です」と、亀井氏は言う。

そういった背景から、「5月くらいまでは金は強い」。
金価格はさらに上昇して、「1トロイオンス1350ドル近辺」まで値上がりするとみている。

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